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2020/12/31 11:35



今年は本当に色んなことがありました。4月の緊急事態宣言以降、牧場も多くの方に助けて頂き、毎週4トンの牛乳廃棄という危機を脱することができました。

皆さんからの応援が本当に嬉しかった。沢山の電話や、手紙を貰いました。ドライブスルーや通販、スーパーで牛乳を選んでくれたり、普段の宅配を一本増やしてくれたり。お店をやっている友人達は自分のことを差し置いて牛乳を販売してくれました。皆んな、それぞれの形で応援してくれました。

僕たちは皆さんから頂いた想いに応えるために何ができるのか。皆んなで考えました。その答え。

「完全放牧で牛を育てる。」

これまで何度も考えてきましたが、今回、行動に移すことにしました。

いま、僕たちが目指しているのは放牧地で育てた牛から乳を搾ることです。皆さんが牧場をイメージするとき、放牧地で牛がのどかに草を食べている姿だと思います。一方で、日本には放牧酪農を実践している牧場は2%以下と言われていて、ほとんどの牛が一生を牛舎で過ごします(これが悪いわけではないです。牛をしっかり管理できる、生産性を高めることができるなどいい点はたくさんあります)。

牧場の面積は35haあります。マツダスタジアム約7個分です。牧場には草木で覆われた使っていない原野がまだ沢山あり、その原野を開拓し、放牧地を作り、その放牧地の草を食べて育った牛から乳を搾ります。

牛がのどかに放牧地を歩き、草を食む。その牛の堆肥はまた土に還り豊かな土壌を作り、良い草を作る。その草を食べた牛から乳を人間が分けてもらう。

これまでは、安心・安全・おいしい牛乳作りを目指してきました。それは当然のこととして、これから僕たちが届けたいのはそれだけではない事に気付きました。

もっと食べるということの本質に近づきたい。僕たちは他の生き物の命を貰いながら日々生きている。当たり前だけど普段あまり意識しないこの事実は、生きていることの不思議さ、素晴らしさを思い起こさせてくれます。牧場に来ると、「生きてて良かったなぁ」と思えるような、そんな場所を作りたい。
これは決して簡単なことではないけど、何年かかっても必ず作ります。美しい放牧の風景を皆さんに見て貰いたい。

これが、僕たちにできるお返しだと思っています。

今年の6月にこの方針を決めてから約7か月。

言葉でなく行動で示したいと思い、放牧地の拡張を進めて来ました。ショベルカーで山を切り拓き、枕木を打ってワイヤーを張りました。

そして今日、第一放牧エリアが完成しました。

色々な制約の中で出来ないと思っていたことが、新型コロナの中、皆さんに背中を押してもらうことで形になりました。

本格的に放牧した牛から乳を搾れるようになるには数年かかりますが、来年の3月頃から牛を放す計画なので、是非観に来てください。

今年は本当に、有難うございました。

来年は牧場ができてから80年です。しかも丑年。僕たちも皆さんに喜んでもらえるように頑張ります。

来年が皆さまにとって良い年になりますように。

久保宏輔